1973 年 35 巻 3 号 p. 247-253
文献的に,また,5大学のアンケートの集計の結果ならびに,わが教室における2,3の成績を綜合検討し,基底細胞癌(BCE)の治療について,つぎのごとく,結論した。
1)BCEの予後は,発生母地,受診までの治療の有無,発生部位,TNM分類における位置などにも関係する。
2)治療法として,高令で,手術侵襲に耐えざる場合をのぞいて,原則として,剔出がのぞましい。放射線の術後照射は,さらに有効である。T3,T4で,部位が鼻背,鼻翼,眼窩にいたるものは,整容的なことは度外視して,思いきり,広く,深く剔出する。放射線療法は,有効な治療法であるが,不適量な照射は,かえつて,Verwilderungをきたすおそれがある。
3)BCEのタイプによつては,5-FU軟膏外用のみでも,完治に導きうる。ブレオマイシンは,術前,術後投与としての意義が大である。