西日本皮膚科
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症例
薬剤によるToxic Epidermal Necrolysis
―症例報告ならびに本邦例について―
加賀美 潔
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1973 年 35 巻 5 号 p. 526-531

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抄録

薬剤によるtoxic epidermal necrolysisを52才家婦に経験し, 重篤な経過をたどつたが治癒に至らしめた。約2年後アミノピリンを含む風邪薬を服用して再然したが, 軽症のまま治癒した。その大要を報告するとともに本邦報告例を集め自験例を含めて, 68例について年令・性, 死亡例, 臨床症状, 臨床検査成績, 組織学的所見, 原因と思われる薬剤などについて統計的に検討した。致死率は約20%で一般に高熱を発し粘膜疹は90%以上にみられた。記載例については血沈は80%が亢進し, 尿蛋白陽性者も80%近くにみられた。既して肝・腎の障害をたたしている臨床検査所見が多かつた。組織学的には表皮の全層壊死が約90%に達し原因薬剤では風邪薬, サルファ剤, 単味のものではスルピリン, アミノピリン, トランコパール, フェノパルビタールが多かつた。

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© 1973 日本皮膚科学会西部支部
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