西日本皮膚科
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研究
尋常性白斑病変部の末梢神経と小血管の電子顕微鏡的観察
鈴木 隆郎
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1973 年 35 巻 5 号 p. 556-565

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抄録

尋常性白斑21例の病変部より生検し, 神経および, 小血管の変化の電顕的観察をおこなつた。対照として炎症性皮膚疾患の2, 3をえらび, 神経の観察をおこなつた。尋常性白斑の神経では, シュワン細胞の変性, アクソンの浮腫, 腫脹と偏位, メグアクソンの消失, シュワン細胞基底層の肥厚と多層化を認めた。真皮上層の小血管では, 内被細胞内浮腫と細胞内小器管の消失, 細胞膜の破壊, 血管基底膜の肥厚, 多層化を認めた。対照とした, SLE, DLE, 固定薬疹の神経で, シュワン細胞, アクソンの変性, シュワン細胞基底膜の肥厚, 多層化を認めた。したがつて, 神経および血管の変化は両者と共通していた。このことから, 尋常性白斑が一次的な自律神経異常によつて成立すると考えるよりは, なんらかの機転で真皮に起こつた炎症により, 神経および血管の病変をもたらし, メラノサイトの形態的変化をきたしたものであると考えられる。

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© 1973 日本皮膚科学会西部支部
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