西日本皮膚科
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シンポジウム—皮膚科領域における治療の動向
第2部 免疫抑制剤—
免疫抑制剤(イムラン)の単独使用経験
—SLEを中心に—
笹岡 和夫高橋 勇阿南 貞雄力丸 正治山浦 英明野中 薫雄藤原 直子前島 和樹里見 行義
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1974 年 36 巻 3 号 p. 337-343

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抄録

われわれの教室では, プリン拮抗剤のひとつであるイムラン(azathioprine)をSLEを中心に使用してきた。イムランを3ヵ月以上使用した症例はSLE15例, subacute LE4例, 汎発性鞏皮症, 落葉状天疱瘡, 壊疽性膿皮症各1例であつた。SLEではイムラン単独使用で効果のあつたのはわずか2例にすぎなかつたが, 「ス」剤との併用例は非常に有効なものが多かつた。Subacute LEは, 単独療法のみの有効例が多かつた(3/4例)。その他の疾患では, いずれもイムランが無効であつた。イムラン単独使用で著効を奏したSLE, subacute LEの症例を検討した結果, 臨床症状と一般検査成績の改善が免疫学的検査成績の改善よりも早くて顕著であることから, 本剤には抗炎症効果もあることが推察された。なお, 軽度の貧血と白血球減少(4,000)をきたす例に有効例が多いことから, 貧血と白血球減少をきたし一時的に骨髄機能を抑制するほどに投与量, 投与期間を調節することが治療のポイントと思われる。また, 軽度の胃腸障害と白血球減少以外, 不可逆性で重篤な副作用は経験しなかつた。

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© 1974 日本皮膚科学会西部支部
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