西日本皮膚科
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症例
外歯瘻
佐藤 隆久児玉 圀昭
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1974 年 36 巻 6 号 p. 771-777

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抄録

最近われわれは外歯瘻の1例を経験,これを契機に過去9年間当院歯科を受診した外歯瘻患者16名について,臨床統計的観察を試み,以下の知見をえた。
1)性別では約1.5:1で男子にやや多く,年令別では10才台がもつとも多い。
2)原因は約80%が齲歯に起因する。とくに下顎第1大臼歯による場合が多い。また齲歯の処置,未処理の別ではむしろ処置歯に発症例が多い。
3)瘻孔の発生部位は,原因歯近位の下顎骨にそつた頬部に多発する。
4)皮疹の症状はかなり多彩で外見上,少なくとも肉芽腫型,瘻孔型および膿瘍型の3型に分類しうる。
5)一般細菌検査は7例に実施,そのうち4例にStaphylococcus epidermidisを検出したが,いずれも齲蝕未処置歯に関与していた。細菌陰性例は全例齲蝕歯の処置歯であつた。
6)本症は確定診断までに数ヵ月ないし数年を要することがしばしばみられる。

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© 1974 日本皮膚科学会西部支部
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