西日本皮膚科
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症例
扁平苔癬様薬疹
松本 幸子荒田 次郎益田 俊樹谷奥 喜平
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1975 年 37 巻 5 号 p. 737-744

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抄録

高血圧症, 動脈硬化症の治療中に扁平苔癬様皮疹を生じた6例を報告した。年令は49~77才で, このうち5例はシンナリジンを服用しており, その特徴として1) ほぼ全身に対側性に, そう痒ある滲出傾向の強い暗紫紅色扁平隆起性紅斑ないし丘疹を, 2) 顔面とくに耳介および前額部に瀰漫性紅斑を認め, 3) 多くは口腔粘膜所見を有し, 4) 組織学的に好酸球浸潤と著明な乳頭部の浮腫を伴つた扁平苔癬像を示した。5例ともシンナリジンの内服中止とともに症状は軽快し, その経過より原因薬剤と考えた。発生機序として, 薬剤の生化学的作用, 著積作用の可能性が考えられる。残りの1例はシンナリジンと同様に塩酸ピリチオキシンも服用しており, 皮疹は露出部に限局し, 光アレルギー機序の関与が想定された。

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© 1975 日本皮膚科学会西部支部
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