1977 年 39 巻 3 号 p. 376-382
経皮複合消炎剤(モビラート軟膏)の有効成分である副腎エキスおよび抗トロンビンヘパリン類似物質の配合意義を検討するため, 堀木らの行なつた変形性膝関節症にたいする二重盲検法による臨床試験(モビラート軟膏, 副腎エキス, 抗トロンビンヘパリン類似物質および基剤の4群, 群間比較試験)結果を推計学的に検討した。各群の症例数がことなるため, 一般的な検定推定手法である線型推定検定論を用いて, 交互作用項の検討を行なつた。各群の総合評価において無効, やや有効有効, 著効にたいし, 0, 1, 2, 5の評点化を行なつたとき, 有意水準α=0.10で, 交互作用項の効果が有意となり, 二重盲検法による臨床試験データによりモビラート軟膏を構成する副腎エキスと抗トロンビンヘパリン類似物質の変形性膝関節症政善にたいする相乗効果の存在を確認できた。