西日本皮膚科
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症例
砒素角化症の組織所見補遺
伊勢 信子新井 春枝
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1977 年 39 巻 4 号 p. 567-573

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抄録

52~53年前, アジア丸を1ヵ月間内服し, 約45年後に四肢末端に典型的な角質増殖性病変を呈してきた73才女子例を報告した。内臓悪性腫瘍はない。採取した14ヵ所の病変の病理組織像と病変の組織砒素含量について検討した。扁平上皮癌, ボーエン病様変化, 砒素角化症の三様の像があり, 手背は悪性の所見を示すものが多かつた。空胞化細胞は5ヵ所でみられた。4ヵ所のボーエン病様組織のうち3ヵ所で胞巣構造がみられた。アミロイド沈着が14ヵ所中3ヵ所でみられた。臨床上の角質増殖と組織学的悪性度は反比例する印象をうけた。原子吸光分光分析装置を用いて皮膚組織片, 血液, 尿の砒素量を検索したが, いずれも正常範囲内と考えられた。

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© 1977 日本皮膚科学会西部支部
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