西日本皮膚科
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症例
東北地方におけるスポロトリコーシス
笠井 達也斎藤 信也
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1978 年 40 巻 1 号 p. 30-39

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抄録

東北地方において1965年の第1例の報告いらい, 1977年9月までに, なんらかの機会に報告されたスポロトリコーシスは23例を数えるが, その症例の概要をまとめて今後の検索の便に供した。発生地域は県別には宮城12, 福島8, 山形2, 岩手1で, 発生地の北限は表日本側では岩手県一ノ関市, 日本海側では山形県最上郡である。多雪地帯の例は山形県下の2例に過ぎない。発症時期は秋から冬に15例と過半数がみられる。男女比は9対14だが, 小児に限ると4対2と男に多い。職業および生活環境としては農業関係者が9例に達する。外傷の既往が明らかなものは5例に過ぎない。罹患部位は10才以下の6例は全例が顔で, そのうち1例はネズミの咬傷部位に多発したもので, 顔以外に前腕にもみられた。成人では顔8, 上肢6, 下肢2, 上胸部1となる。病型別では皮膚リンパ管型が18例, 固定型が5例である。奏効した治療は温熱1, クロトリマゾール内服3, ヨードカリ内服19となる。

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© 1978 日本皮膚科学会西部支部
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