1978 年 40 巻 4 号 p. 662-667
左上腕外側に4年前から硬結とその中心に小結節が存在し, 組織学的に真皮および皮下組織に多数の角質嚢胞とbasaloid cellsからなる細胞巣により構成された腫瘍塊が認められ, solitary trichoepitheliomaと診断した72才男子例を報告した。本症例の臨床像は左上腕部に発生, 結節とその基底および周囲に皮下硬結として存在し, 結節の表面に微小潰瘍を形成, 初発年令が68才ころであつたことなど従来の本邦例にはみられない所見を示した。