西日本皮膚科
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症例
悪性血管内皮細胞腫
堀 嘉昭伊勢 信子
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1978 年 40 巻 6 号 p. 1128-1132

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抄録

発症後約1年半の経過で死亡した(死亡時75才女子)悪性血管内皮細胞腫の1例を報告した。本症は老人の頭部, 顔面に好発し, 血管拡張と浮腫で始まり, 出血性の腫瘤を形成する。ひとたび発症すると網状の紅斑すなわち血管拡張は周辺にとめどなく拡大し, その部に腫瘤を形成し, 末期には肺, 骨などに転移し, 死の転帰をとるきわめて悪性度の高い腫瘍と考えられる。病理組織学的には血管の拡張, 浮腫, 出血と血管内皮細胞の腫大, 増殖, 管腔内への突出, 管腔の狭窄ないし閉塞, 血管外の増殖を特徴とする。初期には腫瘍細胞の異型性はそれほどではないが, 末期にはきわめて強くなる。アルカリフォスファターゼ活性は陽性であるが, 異型性がきわめて強く, 管腔を形成しない腫瘍細胞では陰性を示すものもある。本症例は種々の化学療法に抵抗し, 放射線照射がやや有効であつたが, 増殖傾向が強く, 肺胸膜, 脊椎骨に転移して死亡した。

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© 1978 日本皮膚科学会西部支部
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