西日本皮膚科
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症例
免疫抑制剤が有効であつた慢性湿疹および痒疹
浪花 志郎山口 康則西山 和光安野 秀敏越智 敬三
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1979 年 41 巻 1 号 p. 73-78

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抄録

52才男子, 約7年前から貨幣状湿疹および単純性痒疹が汎発性にくりかえし生じた。この間, ステロイドの全身·局所投与に抗ヒスタミン剤を併用したが, 皮疹の増悪や再燃を抑止できず, 副腎皮質機能の低下をきたした。皮疹改善およびステロイド離脱を目的として, ステロイドの全身ならびに局所投与を中止するとともに, 免疫抑制剤を投与した。Cyclophosphamide 100mg/日, 7日間の投与では, 貨幣状湿疹がかえつて増悪し, かつ自家感作性皮膚炎が急激に汎発性に生じた。ついでazathioprine 50mg/日の連日内服投与を開始したところ, 上記の各種皮疹は次第に軽快しはじめ, 約6週後にはほとんど消失した。この間, 特記すべき副作用は認められなかつた。また, 血中IgE値が次第に上昇する傾向を示した以外に, 細胞性や体液性の免疫能にたいする抑制的影響は認められなかつた。この点については今後の検討を要するが, 慢性に経過する湿疹や痒疹例にたいして, azathioprineによる免疫抑制療法は試みる価値を有するものと考える。

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© 1979 日本皮膚科学会西部支部
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