1979 年 41 巻 3 号 p. 418-425
美容は皮膚科的のみならず, 心理的·社会的な要素にも大きく支配される。したがつて, その用語も従来官能的あるいは経験的な表現が多く用いられており, このことが美容と医学との共通の場での討論を困難にさせる一因となつていることは否めない。著者らは, このような美容と医学との接点での混乱を整理し, さらに皮膚科学的理論に裏づけられた美容法へと導くために, 美容上または臨床上すでによく知られている経験的事実に皮膚科学的角度からアプローチを試みている。本報では, 主に顔面皮膚の皮表脂質量, 水分量および表面形態を新たな手法で測定し, それぞれの結果について考察を加えた。また健康で美しい皮膚の状態を維持するためには必要に応じておのおのの目的に適合した人工的なprotective coatの存在が必要であることが示唆された。