1980 年 42 巻 1 号 p. 22-29
68才男子の下眼瞼外側に生じた14×12×12mmの腫瘍を報告した。組織学的には腫瘍は一部に乳頭状の増殖をともなう大小多数の管腔ないし嚢腫様構造よりなり, これらの壁は明らかな2層構成を示していた。電顕的には内側の細胞には多数の分泌顆粒, ミトコンドリア, ライソゾームが存在し, 外側の細胞にはmyofilamentがみられ, 全体的にアポクリン腺分泌部に類似していた。以上の所見より著者らは本腫瘍をアポクリン腺分泌部へ分化を示すadenomaと考えたが, 今までのアポクリン汗器官腫瘍の分類にはあてはまるものがなく, apocrine gland adenoma(仮称)として報告した。