西日本皮膚科
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症例
小児SLE症例にみられた著明な肝症状およびPneumocystis carinii肺炎
坂崎 善門武藤 公一郎城野 昌義前田 利為大塚 陽一郎絹脇 悦生
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1980 年 42 巻 2 号 p. 234-240

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抄録

典型的SLE皮疹とともに肝腫大および肝圧痛のみられた9才女児のSLE症例を報告した。検査所見ではLE現象強陽性, 抗DNA抗体強陽性, 血清補体価の低下, GOT, GPT, LDHの上昇が認められた。治療にはコルチコイド最高85mg/日の大量持続点滴投与を行ない上記の臨床症状および検査所見の改善をみた。SLEの増悪期に一致して肝腫大および圧痛をきたし, GOT, GPTの上昇が経過とよく一致したことから, これらの肝症状はSLEの1部分症状としての重症型hepatic lupusと考えられた。コルチコイド大量投与中, Pneumocystis carinii肺炎を併発したが, pentamidine isethionateとsulfamethoxazole-trimethoprimの併用療法を行ない治療に成功した。P. carinii肺炎は死亡率の高いopportunistic infectionのひとつで皮膚科領域においても留意すべき肺感染症であることを述べ, その概要を紹介した。

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© 1980 日本皮膚科学会西部支部
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