1980 年 42 巻 3 号 p. 403-408
Lupus erythematosus profundusの44才女子例を報告し, SLEやDLEの所見をもたない本症の診断に関して, 臨床所見, 組織所見を中心に若干の考察を行なつた。臨床的には, 発生部位は顔面についで上腕が多く, 皮疹は性状に特徴的なものは少ないが, 年余にわたつて存続し, 軽快または治癒後に特有な陥凹を残すことが多いなど, ある程度の観察期間を置けばかなり特徴的な所見を示す。組織学的には真皮深層から皮下組織にかけて, 血管周囲性ないし附属器周囲性にみられる稠密なリンパ球浸潤が主体で, lymphocytic vasculitisがみられ, 詳細にみれば皮下脂肪織に好酸性のフィブリノイド様変化が観察される。これらの所見から診断が可能であるが, しかしながらなお診断困難な場合もあり, 電顕的にLEに特徴的な変化を見出すことが必要である。