西日本皮膚科
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症例
熱傷後に生じた水疱性類天疱瘡
酒井 康弘吉江 治彦
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1980 年 42 巻 3 号 p. 409-414

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抄録

水疱性類天疱瘡の75才女子例を報告した。下肢に神経痛様の疼痛があり, そのため下肢と腰部に灸を据えたが, その熱傷性変化が容易に治癒しなかつた。約2ヵ月後, 灸の部位に始まり, やがて腹部, 上肢などに拡がる多数の水疱が出現した。外用療法のみで水疱は消失, 治癒した。約1年後, 左大腿の鼠径部付近に鶏卵大の第2度熱傷を生じた。同部の水疱は治癒せず, かえつて拡大し, さらに腰部, 上肢, 胸部, 外陰部などに多数の水疱が出現した。組織学的には表皮下水疱で, 水疱内に多数の好酸球を認めた。螢光抗体直接法で表皮基底膜にIgG, C3の沈着があり, 間接法で血清希釈5,120倍陽性の抗基底膜抗体を認めた。全身の水疱はステロイド剤内服により約1ヵ月で治癒し, その後再発はない。しかし治癒後も高値の抗基底膜抗体価が持続している。

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© 1980 日本皮膚科学会西部支部
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