1980 年 42 巻 5 号 p. 827-830
I型アレルギー反応における白血球からのヒスタミン遊離がdeuterium oxide(D2O)によつて増強されることは, よく知られている。今回の実験では, ダニおよびハウスダスト抗原をもちいて, 慢性蕁麻疹患者白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離におよぼすD2Oの効果を検討した。その結果, 慢性蕁麻疹患者白血球からのこれらの抗原による試験管内ヒスタミン遊離反応は, D2Oの存在によつて増強され, D2Oの存在下で抗原特異ヒスタミン遊離がみられる症例数の割合は, D2Oの存在しない実験条件下でみられる割合よりも著明に増加した。このD2Oの効果は, 白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離をもちいて慢性蕁麻疹の抗原を検索する場合に有益と思われる。