西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
研究
慢性蕁麻疹患者白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離におよぼすDeuterium Oxideの影響
沼田 恒実矢村 卓三山本 昇壮
著者情報
ジャーナル 認証あり

1980 年 42 巻 5 号 p. 827-830

詳細
抄録

I型アレルギー反応における白血球からのヒスタミン遊離がdeuterium oxide(D2O)によつて増強されることは, よく知られている。今回の実験では, ダニおよびハウスダスト抗原をもちいて, 慢性蕁麻疹患者白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離におよぼすD2Oの効果を検討した。その結果, 慢性蕁麻疹患者白血球からのこれらの抗原による試験管内ヒスタミン遊離反応は, D2Oの存在によつて増強され, D2Oの存在下で抗原特異ヒスタミン遊離がみられる症例数の割合は, D2Oの存在しない実験条件下でみられる割合よりも著明に増加した。このD2Oの効果は, 白血球からの抗原特異ヒスタミン遊離をもちいて慢性蕁麻疹の抗原を検索する場合に有益と思われる。

著者関連情報
© 1980 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top