西日本皮膚科
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症例
マイボーム腺癌
大瀬 千年上田 恵一赤松 真
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1981 年 43 巻 2 号 p. 217-221

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抄録

84才女子の右下眼瞼に生じたマイボーム腺癌を報告した。組織学的には,腫瘍巣は大小さまざまで不規則な小葉を形成,ところどころに嚢腫様構造がみられた。腫瘍細胞は異型性があり,染色性の強い核をもつた比較的に小型な細胞と,細胞質内に大小の空胞をもつた大型の細胞の2種類からなつていた。電顕的には,電子密度の高い細胞と,低い細胞とが混在してデスモゾームで密に接していた。電子密度の低い細胞の核は大型で,細胞内にはミトコンドリアや小胞体,ゴルジ装置が豊富にみられた。電子密度の高い細胞は核質のヘテロクロマチンが多く,また細胞質内にはリボゾームが多く,空胞,リピド顆粒,ミエリン様構造物などがきわめて多く認められた。またこれらの中間の電子密度を示す細胞も認められた。

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© 1981 日本皮膚科学会西部支部
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