1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1078-1084
真皮内の異物が, 表皮や毛包を通じて体外に排除されることがある。これをMehregan(1968)はtransepithelial eliminationと呼んだ。佐藤(1976)はこの現象を皮膚のelimination現象(E現象と略)と略称し, この現象が特徴的, 基本的な病的過程を示す疾患をelimination dermatosesとして包括した。E現象は皮膚病理組織学の理解の上で, さらに皮膚病変の成立過程の上で重要な意義を有する。そして本現象は異物排除織能として, 皮膚の基本的な生物学的反応形式の一つであると考える。本現象の概念が確立するまでの歴史的過程を述べ, elimination dermatosesとE現象のみられる疾患を文献的にまとめた。またわれわれの動物実験の成績の一部を記し, E現象の様式と機序を考察した。