西日本皮膚科
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協賛論文
我が国におけるMicrosporum canisの蔓延について
渡辺 昌平広永 正紀本城 和代
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1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 1111-1118

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抄録

最近10数年に日本全国に蔓延するに至つたMicrosporum canisについて, その発生, 蔓延の状況を戦前からの歴史的経過を辿つて文献的考察を試みた。人の本菌感染症の感染源としては, 描, 犬が大きな役割を荷つており, とくに猫は外来種のシャム系·ペルシャ系の猫が本菌の蔓延に重要な意味をもつている。この点, 本菌は戦後のペットブームと共に, 外来から高級猫または犬とともに持ち込まれたものと考えられるが, 一部は戦前から北海道で札幌小胞子菌として発表された系統のものが存在していた証拠があり, 現在の蔓延にはこの両系統のものが混在している可能性がある。本菌の交配型はほとんどの分離株が“-”型を示すが, 現在本邦でのみ4株の“+”型が発見されており, 本菌の世界での分布, 蔓延の状況を追求する一つの手懸りとして興味深い示唆を与える。

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© 1981 日本皮膚科学会西部支部
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