1981 年 43 巻 Suppl 号 p. 989-995
1975年より1980年までの6年間に頭部のカンジダ症を11例経験した。いずれも乳幼児で, その大部分は乳児寄生菌性紅斑が汎発化して頭部へも増加拡大したものと理解されるべき症例であるが, とかく安易に湿疹あるいは汗疹などとして看過されがちであり, ステロイド外用剤を塗布されたりベビーパウダーを用いられていたものが多い。なかにはケルスス禿瘡のように炎症症状が顕著で脱毛斑を残して治癒する症例もみられている。文献上, 自験例と同様の症例が6例みられ, 自験例を含めた17例をもとに, 本症の臨床症状, 鑑別診断, 治療などについて述べた。鑑別困難なケルスス禿瘡とは本症が毛髪に菌要素の寄生をみない点で識別した。治療にはmacrogolum 400のみを基剤としたclotrimazole液が効果的であつた。