西日本皮膚科
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症例
Tioproninによる薬疹
倉田 三保子安野 秀敏藤田 英輔
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1982 年 44 巻 3 号 p. 379-382

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抄録

症例: 78才女子。約10年前より肝機能障害の診断のもとにtioproninを内服していた。約40日前よりそう痒を伴う扁平苔癬型皮疹が四肢, 顔面に生じた。Tioproninの5%濃度の注射液によるpatch testは陽性で, 同剤100mgの内服試験では6時間後に皮疹が再現された。本症の本邦報告例は近年増加傾向にあり, これまでに22例がみられている。皮疹出現までの投薬期間は1∼2週間の症例が多く, 皮疹型では播種状紅斑丘疹型が最多で, ほかに紅皮症型, 扁平苔癬型および多形紅斑型もみられた。原因薬の検査では, 内服試験施行例のすべてに皮疹が再現され, またpatch testおよびskin window testでも陽性率が高かつたので, これらの検査法は本症の診断に有用と思われた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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