西日本皮膚科
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研究
水疱性類天疱瘡におけるArylsulfatase活性
樋口 満成西尾 達己一木 幹生津田 真五笹井 陽一郎
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1982 年 44 巻 3 号 p. 405-408

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抄録

水疱性類天疱瘡(以下BPと略す)患者9例について, 水疱液中のarylsulfatase活性を測定した。対照として用いた熱傷患者4例では, arylsulfatase A 3.118±0.224μg/ml/hr, arylsulfatase B 3.447±0.508μg/ml/hrであるのに対し, BPでは, arylsulfatase A 6.552±1.083μg/ml/hr, arylsulfatase B 25.797±7.052μg/ml/hrで, とくにarylsulfatase Bの活性の上昇が観察された。BPのうち2例の患者では, corticosteroid治療後にも残存していた水疱液のarylsulfatase活性は, 著明に減少していた。この減少は, 末梢血の好酸球数の減少および血清IgE値の低下ともある程度平行していた。Arylsulfataseは好酸球に多く内包されているhydrolytic enzymeで, 特にarylsulfatase Bは, eosinophil chemotactic factor of anaphylaxis (ECF-A)やslow reacting substance of anaphylaxis (SRS-A)を不活性化することが知られている。BPにおいて, 本酵素がECF-Aと関連しながら水疱形成あるいは治癒機転に関与している可能性が示唆された。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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