西日本皮膚科
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治療
二重盲検法によるチオコナゾールクリームの皮膚カンジダ症に対する有用性の検討
チオコナゾール研究班
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1982 年 44 巻 3 号 p. 444-451

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抄録

全国20施設の共同研究により, チオコナゾール1%クリームの皮膚カンジダ症(カンジダ性間擦疹およびカンジダ性指間糜爛症)に対する有用性に関し, クロトリマゾール1%クリームを対照薬とする二重盲検法により比較検討した。本試験によつてチオコナゾールは最終全般改善度と有用性の評価においてクロトリマゾールに比し有意に優れていることが認められた(U検定)。また最終全般改善度の「治癒または略治」, 「改善以上」, 有用性の「極めて有用」の項目でもチオコナゾールはクロトリマゾールに比較して有意に優れる(F法)ことが実証された。病型別に考察すると, カンジダ性間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む)で, 最終全般改善度と有用性の評価(U検定), 最終全般改善度の「治癒または略治」および有用性の「極めて有用」(F法)でチオコナゾールはクロトリマゾールに比して有意に優れた。またカンジダ性指間糜爛症では, 最終全般改善度の評価(U検定)でチオコナゾールはクロトリマゾールに比し有意に優れた。またC. albicansが同定された症例では, 最終全般改善度と有用性評価(U検定), 最終全般改善度の「治癒または略治」および「改善以上」(F法)で, チオコナゾールはクロトリマゾールに比し有意に優れていた。菌陰性化率, 患者による評価および再発·再感染追跡調査結果などでは, 両剤間に有意差は認められなかつた。副作用は両剤に1例ずつ皮膚の局部症状がみられ, 臨床検査では両剤によると思われる異常値は認められなかつた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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