西日本皮膚科
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症例
糖尿病患者にみられた環状肉芽腫
辻 トヨコ一木 幹生津田 真五加治 英雅
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1982 年 44 巻 4 号 p. 555-560

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抄録

38才女子。昭和52年より左足背にgranuloma annulareの定型疹を, 同側の下腿前面には穿孔を有しnecrobiosis lipoidica様外観を呈する浸潤性局面を生じてきた。臨床検査成績では糖負荷試験で糖尿病型を, ツ反で強陽性を示した以外は正常範囲内であつた。病理組織学的には足背は膠原線維の変性とそれを取りまく組織球, リンパ球, 類上皮細胞の浸潤を認め, 血管の変化は軽度であり, Sudan III染色にて変性部分と細胞浸潤との移行部分に脂質の沈着を認め, PAS陽性物質もみられた。直接螢光抗体法にて変性部分にfibrinogenを認めた。下腿ではperforating granulomaの像を呈し, necrobiosisが比較的多発した以外は足背と同様の病理組織学的所見を示した。足背の皮疹は生検後, 一部扁平化してきたが, 下腿の皮疹は変化なかつた。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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