西日本皮膚科
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統計
久留米大学皮膚科教室におけるスポロトリコーシス100例の統計的観察
近藤 親司加治 英雅
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1982 年 44 巻 6 号 p. 983-987

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抄録

昭和37年2月から昭和55年7月までの19年間に, 久留米大学皮膚科教室において経験されたスポロトリコーシス100例につき統計的観察をおこなつた。年間平均の症例数は5.3例であり, また外来患者総数にたいする割合は0.13%であつた。性別では男36例, 女64例と女性に多かつた。年令別の症例数は各年令層に発症をみるが, 10才未満, 40才代, 50才代, 60才代の順に多かつた。罹患部位は顔面と上肢に多く, とくに10才未満の小児では顔面に多く, 逆に40才から79才までの中高年層では上肢が多かつた。病型ではリンパ管型43例にたいし固定型56例と固定型が多かつた。発症時期は春14例, 夏17例, 秋27例, 冬34例で秋から冬にかけての発症が多かつた。外傷の既往のあつたものは39例で, 職業では農業従事者が24例あつた。スポロトリキン反応は93例に施行し90例に陽性を呈した。組織内菌要素は93例中62例に認められた。地理的分布において患者の居住地は福岡県筑後地方の筑後川, 矢部川流域の平野部に集中しており, 山間部では少なく, このように限られた地域での患者統計である点, 意義があるものと考える。

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© 1982 日本皮膚科学会西部支部
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