西日本皮膚科
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治療
中毒疹·薬疹に対するグリチルリチン(グリチロン注1号)注射単独療法の二重盲検法による検討
グリチロン臨床研究班
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1983 年 45 巻 4 号 p. 646-652

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抄録

中毒疹·薬疹に対するグリチルリチン(グリチロン注1号)注射単独療法の効果を, 16施設の参加による二重盲検試験で検討した。解析対象は145例で, うち中毒疹43例(本剤22例, placebo 21例), 薬疹102例(本剤51例, placebo 51例)であつた。併用療法をおこなわずに, 1日1回1アンプル2ml皮下注(または筋注)を5日間連続しておこない, 効果を判定した。薬疹群では有意差をもつて本剤がplaceboより高い治療効果を示し, 投与後2日目ですでに有意の治療効果がみとめられた。一方, 中毒疹群では本剤がわずかにplaceboより治療効果が高かつたが, 有意差はみとめられなかつた。薬疹·中毒疹を総合すると, 本剤にはplaceboより高い治療効果をみとめ, その有意差はU-検定でp<0.001であつた。副作用としては1例に皮下硬結の疑問例をみたのみで, 事実上副作用はなかつた。以上を総合して, グリチロン注1号の注射療法は, 中等·軽症の中毒疹·薬疹とりわけ薬疹に対する安全で温和な治療法として有用であると考えられた。

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© 1983 日本皮膚科学会西部支部
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