西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
老人性角化腫を伴つた有棘細胞癌症例における反応性浸潤リンパ球についての観察
—リンパ球モノクローナル抗体を用いた酵素抗体法による解析—
城野 昌義古城 八寿子影下 登志郎奥村 之啓桑原 宏始
著者情報
ジャーナル 認証あり

1983 年 45 巻 6 号 p. 965-971

詳細
抄録

老人性角化腫(senile keratosis, SK)を伴つた有棘細胞癌(SCC)症例において, 単クローン抗体を用いた酵素抗体法で, 反応性浸潤リンパ球およびマクロファージを表面形質の差異により亜群に識別, 両腫瘍間で比較·検討し, 以下の結果を得た。両部とも浸潤リンパ球はほとんどT細胞であつたが, T細胞のsubsetsで明らかな差が認められた。すなわちLeu2抗原陽性細胞(L2a(+)細胞)の増加傾向, 腫瘍内侵入像および腫瘍直下集簇像をSK部で認めたが, SCC部ではみられなかつた。またLangerhans細胞をSK部の腫瘍内および間質に相当数認めたが, SCC部ではいずれも比較的減少していた。以上よりSKの腫瘍部および腫瘍直下にL2a(+)細胞を誘導しLangerhans細胞で処理される抗原が確かに1種以上存在すると考えた。

著者関連情報
© 1983 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top