西日本皮膚科
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症例
造影剤における皮膚障害の2例
野上 玲子工藤 昌一郎前川 嘉洋
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1983 年 45 巻 6 号 p. 991-994

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抄録

症例1: 生後3ヵ月女児。右足背点滴刺入部を中心として造影剤の血管外漏出によると思われる深達性潰瘍を形成し, 分層植皮術を施行した。症例2: 77才女子。右前腕点滴刺入部に一過性の発赤, 腫脹を来したが, ヒアルロニダーゼ加生食水局注などの保存的療法により軽快した。 皮下注による造影法も行われているが, 動物実験の報告で造影剤の皮下または筋注が明らかな組織障害を示しており, 極量以上を皮下に注入することは危険と考えられる。 造影剤の血管外漏出時の対策として, ヒアルロニダーゼ加生食水の速やかな局所投与により, 症例2のごとく良好な結果を得た。不幸にして壊死に陥つた場合は植皮術の適応となろう。 放射線科領域では急速大量投与による造影法の導入につれて, 造影剤による副作用として皮膚障害の発生が増大する可能性が警告され, 皮膚科においても今後この種の症例の増加が危惧される。

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© 1983 日本皮膚科学会西部支部
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