西日本皮膚科
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症例
血清亜鉛低値を伴つた白癬性毛瘡の1例
角田 孝彦小川 俊一
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1984 年 46 巻 2 号 p. 508-511

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抄録

血清亜鉛低値を伴つた白癬性毛瘡の1例を報告した。症例は32才男子。ステロイド軟膏の使用経験がある。上口唇と下口唇に紅斑, 膿疱局面があり, 真菌鏡検, 培養でT. rubrumと同定した。眉毛部にagminate folliculitis型白癬, 臀部, 四肢に浅在性白癬を合併していた。トリコフィチン皮内テストは即時型·遅延型とも強陽性であつた。IgE高値, ツ反は強陽性, カンジダ皮内テストの即時型陰性, 遅延型強陽性, 50g GTTでoxyhyperglycemiaがあつた。血清亜鉛は56μg/dlであつた。治療はグリセオフルビンとZnSO4 1日200mgの内服を行い, 皮疹は約1ヵ月で軽快し, 血清亜鉛値も正常化した。本症例においては, 亜鉛欠乏による易感染性も毛瘡の発症に関与していると考えられた。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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