1984 年 46 巻 3 号 p. 681-690
Calmodulinは細胞内カルシウム受容体として近年注目を集めている比較的低分子の酸性蛋白である。この物質は当初cyclic nucleotide phosphodiesteraseの活性化因子として報告され, cyclic nucleotides系の調節因子と考えられたが, 以後Ca++-calmodulin系により制御をうける反応機構が次々と見出されるようになり, 現在calmodulinはCa++の幅広い機能を司る多機能蛋白と考えられている。この蛋白は事実上あらゆる真核動物細胞に存在しており, 表皮においても最近その存在証明がいくつかのグループによりなされた。今後の課題としてcalmodulinが表皮においてどのような働きをしているのか, すなわちcalmodulinにより制御をうける反応機構が何であるかを探ることが残されている。