西日本皮膚科
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症例
Lupus ErythematosusとLichen PlanusのOverlapを示した1例
功野 泰三横山 寧恵稲田 修一
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1984 年 46 巻 3 号 p. 698-703

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抄録

29才女子。四肢末端部に角化性鱗屑を有する紫紅色局面を生じ, 病理組織像では, 光顕的には, lichen planus(LP)とlupus erythematosus(LE)の両者の像を示し, 電顕的には, 表皮および真皮の血管基底膜の多層化, 真皮上層の細線維塊, 血管内皮細胞内にパラミクソウイルス様管状構造物の集塊が観察され, LEに近い所見を認めた。また蛍光抗体法では, 表皮基底膜への免疫グロブリンなどの沈着はなく, Civatte小体様物質に一致して免疫グロブリン, C3, フィブリノーゲンの沈着を認めた。臨床検査成績では, γ-グロブリンの増加, RA陽性, 抗DNA抗体陽性を示した。以上より自験例は, LPとLEのoverlapを示し, いわゆるunusual variant of lupus erythematosus or lichen planusと診断した。さらにLPとLEのoverlapを示すと考えられる現在までの報告例をまとめ, 若干の考察を加えた。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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