西日本皮膚科
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治療
湿疹·皮膚炎群にみられる湿潤病巣に対するトプシムクリーム(FAPG基剤)の臨床的並びに細菌学的効果
高橋 博岡部 秀子春山 秀城
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1984 年 46 巻 5 号 p. 1193-1198

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抄録

湿疹·皮膚炎群患者14例の湿潤病巣にトプシムクリーム(TOP·FAPG)とゲンタマイシン添加吉草酸ベタメタゾン軟膏(G·BVO)を使用し, 臨床効果と細菌数の変動を比較検討した。その結果, TOP·FAPG群で著効10例, 有効2例, やや有効2例, G·BVO群では著効8例, 有効3例, やや有効3例であつた。両者の優劣比較ではTOP·FAPG>G·BVO 3例, 両者同等9例, TOP·FAPG<G·BVO 2例であつた。細菌学的には投与前TOP·FAPG群, G·BVO群ともに14例中10例(71.4%)にStaphylococcus aureusが検出された。投与3∼4日目で両群ともにS. aureusの著明な減少ないし消失を認め, 投与終了時にはTOP·FAPG群, G·BVO群それぞれ9/10例, 8/10例にS. aureusの陰性化を認めた。以上よりTOP·FAPGは湿疹·皮膚炎の湿潤病巣にこれを外用することにより, 細菌数の抑制とともにすぐれた臨床効果を示し, その効果は抗生物質添加コルチコステロイド軟膏と同等であると結論した。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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