1984 年 46 巻 6 号 p. 1309-1315
54才男子。6年来の足踵部の再発性難治性潰瘍を主訴としたWerner症候群の1例を報告した。血族結婚の家系で, 父と姉も同症であつたと思われる。身長148cm, 体重44kgで, 脱毛, 四肢の硬化, 白内障などを認めた。内分泌学的に原発性性腺機能低下とインスリン抵抗性糖尿病が, X線検査で足趾骨の変形と軟部組織への石灰沈着がみられた。ほかに右大腿部にhidroacanthoma simplexを併発していた。本症例の報告とともに, Werner症候群の臨床と病因に関して文献的考察を加えた。