1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 157-160
昭和38年4月から同57年12月までの約20年間に山口大学医学部皮膚科を受診した15才以下の小児外来患者について統計的観察を行い, 以下の結果を得た。
1) 小児患者症例総数は12,955例で外来患者症例総数60,961例の21.3%を占めていた。
2) 小児患者総数に対する頻度では, 湿疹·皮膚炎群が最高で, ついで良性腫瘍, 膿皮症, ウイルス性疾患であつた。
3) 疾患別症例総数に対する頻度では, アトピー皮膚炎が最高で, ついで水痘, 急性膿皮症, 非上皮性良性腫瘍, 母斑, 母斑症の順であつた。
4) 60才以上の患者症例数に対する比では, アトピー皮膚炎が最高で, ついで水痘, 母斑, 疥癬, 母斑症の順であつた。一方, その比が低値を示した疾患では, PSS, 皮膚アミロイドーシス, 前癌·表皮内癌および悪性腫瘍でその比は0であり, ついで皮膚そう痒症, 放射線障害, 慢性膿皮症, 結核疹, 紅皮症, 膿疱症, DLE, および皮膚筋炎などが低かつた。
5) 性別症例数では, 男子6,319例, 女子6,636例で男女比は0.95:1と性差はみられなかつた。男女差の大きい疾患のうち, 男子に多い傾向のみられた疾患は, ベーチェット病および結節性紅斑で, また女子に多い傾向のみられた疾患は, 紅皮症およびSLEであつた。