天疱瘡の姉妹例(姉: 落葉状天疱瘡, 妹: 尋常天疱瘡)を報告し, 天疱瘡の家族内発生について若干の文献的考察を行つた。天疱瘡の皮疹は妹に初発し, その5年後に姉に皮疹の出現を認めた。妹の場合は, 臨床的, 組織学的所見により診断され, 姉の場合は, 上記の所見に免疫組織学的所見を加えて診断された。姉のHLAは, A2, BW39, BW61, DR8W6Yであり, 従来から天疱瘡に特異性の高いと報告されているA10, A13, DR4とは相違していた。天疱瘡の家族内発生例を詳細に検討することは, この疾患の遺伝的背景を明らかにするために重要と思われた。