西日本皮膚科
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統計
最近20年間における薬疹教室例の臨床的, 統計的検討
安野 秀敏麻上 千鳥浪花 志郎越智 敬三浜中 すみ子藤田 英輔
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1984 年 46 巻 Suppl 号 p. 41-48

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抄録

山口大学皮膚科教室の最近の約20年間における薬疹例について, 統計的観察を行い, 以下の結果を得た。薬疹疑診例総数は1,348例で, 外来患者総数の2.3%に相当していた。年度別頻度は, 前半の12年間(前期群)では1.9∼3.5%であつたのに対し, 後半の7年間(後期群)では1.6∼2.3%と減少しており, また年令別頻度は, 後期群では高年令層の占める割合が増加していた。性比では, 男:女=1:1.23と女子にやや多かつた。確診例での皮疹型の推移は, 後期群では前期群に比べて麻疹型, 蕁麻疹型および苔癬型の増加ならびに固定疹型の減少が, また原因薬剤の推移は, βラクタム系抗生物質, シンナリジンおよびチオプロニンによる症例の増加ならびに, クロラムフェニコール, サルファ剤を含む化学療法剤およびピリン系薬剤による症例の減少が, それぞれ認められた。GPT上昇例の頻度は, 後期群では前期群の3倍以上に上昇していた。貼布試験陽性例は, 原因薬剤が抗生物質, とくにペニシリン, およびチオプロニンの例に多かつた。Skin window testは, 貼布試験より陽性率が高く, 有用なin vivo testと考えられた。再投与試験陽性例で皮疹誘発に要した薬剤量および時間は, 皮疹型によりかなり相違する傾向が認められた。検査を行つた6例中2例に, ペニシリンとセファロスポリンとの間の交叉反応を認めた。確診例中12例は重複薬疹例で, それらのうち7例では, 一方の原因薬剤が抗生物質であつた。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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