西日本皮膚科
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研究
局所温熱作用後における実験皮膚腫瘍の超微細構造
上田 恵一丸尾 充小森 泰高石 公子
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1985 年 47 巻 1 号 p. 26-32

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抄録

C3Hマウスに自然発生した移植し得る腫瘍を材料とし, ホットシートで加温して温熱療法を施行し, 経時的に超微細構造を観察した。初期変化として腫瘍の細胞間は離開し, 核, 細胞質ともに変化が認められた。核では核濃縮, 核質凝集化, クロマチンの周辺化, 空胞形成, 核膜離開と核膜破開, 細胞質内では空胞·液胞の形成, ミトコンドリア櫛の消失がみられた。経時的に核, 核小体の変形, 無構造領域の形成, 細胞質内にライソソームの増加, さらに細胞の変性像が認められた。また間質では毛細血管の拡張と血栓形成, 好中球, リンパ球, 組織球が浸潤していた。24時間後には変性した細胞とともに再生した腫瘍細胞が認められた。したがつて今回の温熱療法は併用療法として用いられる治療法の一つと考えられた。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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