西日本皮膚科
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研究
正常皮膚におけるS100蛋白の局在
増田 哲夫桜井 由美子田嶋 公子川村 太郎池田 重雄
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1985 年 47 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

今回われわれは正常皮膚でのS100蛋白の局在を検索しつぎのような所見を得た。
1) 末梢神経では, シュワン細胞のみに局在するものと思われる。血管周囲, 汗腺周囲, 毛包周囲, 起毛筋内神経, Meissner小体およびVater-Pacini小体(内棍のみ)に局在を見た。
2) 表皮では, ランゲルハンス細胞は明瞭に陽性, 表皮メラノサイトは一部分が弱陽性を示した。
3) 真皮内では樹枝状のS100蛋白陽性組織球(真皮ランゲルハンス細胞, T-zone histiocyte)を認めた。
4) 皮下脂肪細胞の原形質および軟骨細胞(耳介軟骨)に陽性反応を見た。
5) 皮膚付属器では, エクリン汗腺の分泌細胞が一部陽性, エクリン分泌物および小皮は一部弱陽性で, エクリン腺およびアポクリン腺の筋上皮細胞は陽性を示した。
われわれは, 既知の所見を再確認し, さらに, 5) に記した正常エクリン汗腺の分泌細胞におけるS100蛋白の局在についての新しい知見を得た。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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