西日本皮膚科
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症例
腱鞘巨細胞腫
—構成細胞の微細構造について—
西村 正幸三原 公彦日野 由和夫幸田 弘
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1985 年 47 巻 2 号 p. 213-219

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抄録

25才女子の右第2指末節指腹部に生じた腱鞘巨細胞腫の1例を報告した。電子顕微鏡的に本腫瘍は滑膜A, B細胞類似の細胞, 両者の中間的形態を示す細胞およびそれらの変化によつて生じたと考えられる多核巨細胞, 泡沫細胞およびmyofibroblastからなり, これらの細胞は間質中に島嶼状に小胞巣を形成していた。本症の病理学的位置づけに関して, 周囲の結合織に対して傷害性でなく拡大性の増殖様式をとる点, および正常ではみられない細胞間接着装置の分化, 多核巨細胞や泡沫細胞を形成する点は, 炎症や過形成というよりむしろ良性腫瘍を示唆すると考えられる。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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