西日本皮膚科
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治療
Sch 30500の皮膚悪性腫瘍に対する臨床的研究
Sch 30500腫瘍研究会メラノーマ分科会
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1985 年 47 巻 2 号 p. 302-307

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抄録

皮膚悪性腫瘍に対し, Sch 30500(組換え型ヒトIFNα2)を全身性または局所に投与し, その抗腫瘍効果ならびに安全性について検討した。全身投与は, 8例の悪性黒色腫患者に対し3×106IUないし10×106IU, 1日1回, 連日または隔日の筋肉内投与が行われたが, 奏効例は皆無であつた。局所(腫瘍内またはその周辺)投与は, 悪性黒色腫, 転移性皮膚癌, 菌状息肉症を含む皮膚悪性リンパ腫, およびその他の皮膚悪性腫瘍の患者62例に対し行われ, うち評価対象例は53例であつた。投与量は腫瘍の大きさにより調節されたが, 個体1日総量として1×106IUないし10×106IUの連日または隔日投与であり, 肉眼的個体別奏効率は50.9%(27/53)であつた。疾患別では, 悪性黒色腫44.8%(8/18), 悪性リンパ腫80.0%(8/10), 菌状息肉症40.0%(2/5), 有棘細胞癌14.3%(1/7)などであつた。病巣の大きさ別では小病巣の方が高い奏効率を示した。副作用としては, 高頻度の発熱を伴う感冒様症状, 悪心·嘔吐などが認められ, また臨床検査値異常としては, 白血球減少, 血小板減少, GOT·GPT上昇などが主な所見であつた。これらの副作用は, 継続投与中に軽快, 消失するもの, あるいは投与を中止し無処置あるいは対症療法で軽快, 消失する程度のものでとくに重篤なものではなかつた。以上の結果からSch 30500の局所投与は皮膚悪性腫瘍に対し, 有用な治療法と考える。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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