西日本皮膚科
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治療
KH-101軟膏(リフラップ軟膏)の皮膚潰瘍に対する臨床効果
—多施設によるオープンスタディー—
KH-101研究班
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1985 年 47 巻 2 号 p. 308-320

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抄録

塩化リゾチームの皮膚潰瘍に対する肉芽形成, 上皮化および溶菌などの作用を十分に発揮させ, かつ創傷面に対する保護作用が高く, 分泌物の吸収も考慮した刺激性の少ない, 安全かつ安定なKH-101軟膏(塩化リゾチーム5%含有)が国内で新たに開発された。今回, 各種皮膚潰瘍患者176例にKH-101軟膏を投与し, 臨床効果, 副作用ならびに有用性を検討して以下の成績を得た。
1) 有用性は, 「有用」以上で63%, 「やや有用」以上では84%であつた。また, 主な疾患別有用率(有用以上)は, 褥瘡53%, 熱傷潰瘍69%, 外傷性潰瘍79%であつた。
2) 性状所見のうち, 肉芽形成, 表皮形成および壊死物質除去では改善率は「著明改善」でおのおの47%, 53%, 39%で他の性状の改善率に比べて高かつた。
3) 潰瘍面の感染症例(89例)の細菌陰性化率は43%であり, 未感染症例(74例)の細菌陽性化率は20%と低く, 主薬である塩化リゾチームのもう一つの特徴である溶菌作用が反映されていると考えられた。
4) 本剤との関連性のある副作用は14例(8.0%)に認められた。皮膚刺激症状を含む皮膚炎が8例(4.5%), その他滲出液過多3例(1.7%), 疼痛, 悪臭, 二次感染が各1例(0.6%)で頻度は低かつた。副作用の程度は疼痛を示した1例が強度であつたが, 他は中等度ないしは軽度であつた。また全身的副作用はなんら認められなかつた。
以上の結果から, KH-101軟膏(塩化リゾチームを5%含有)は, 皮膚潰瘍に対して有効かつ安全で有用な外用薬であると考えられた。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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