西日本皮膚科
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治療
注射用牛真皮コラーゲンの使用経験
石川 隆夫大浦 武彦小椋 哲実星 光聡本田 耕一飯田 和典
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1985 年 47 巻 2 号 p. 331-336

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抄録

外傷後瘢痕, にきび痕などの浅い陥凹性瘢痕, 加令によるしわなどに対して, 注射用牛真皮コラーゲン (以下コラーゲンと略す) を用いて, 33例に対して治療した。効果を確認できた31例における治療効果は, 改善26%, やや改善35%, 不変29%, 局所変化10%であつたが, 対象疾患, 注入回数により改善度に違いがあつた。つまり, 受傷後, 長期間経過した, 成熟した瘢痕をもつ陥凹変形に対しては, 改善度は良かつたが, 受傷後まもない陥凹性瘢痕や手術後瘢痕に対しては, コラーゲンの注入が困難で, 改善を示す症例は少なかつた。また, 注入回数では, 同一部位に3回以上注入した症例は, 2回以下の注入の症例よりも改善度はよかつた。一方, 約10%の症例に, コラーゲン注入後, 反応性の発赤, 腫脹を中心とした局所変化が見られた。しかし, この局所変化は, 3ヵ月以内に完全に消失した。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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