西日本皮膚科
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症例
Dペニシラミン服用中の原発性胆汁性肝硬変患者に生じた天疱瘡様皮膚病変
大田 知子荒川 雅美稲垣 安紀中川 昌次郎植木 宏明山本 晋一郎
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1985 年 47 巻 6 号 p. 1026-1031

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抄録

48才女子。原発性胆汁性肝硬変に対し, Dペニシラミンを5ヵ月間, 総量35g内服し躯幹にそう痒を伴う浮腫性紅斑と小水疱が出現した。Nikolsky現象は陽性で粘膜疹は認めなかつた。組織像は, 棘融解性表皮内水疱で多数の好中球, 好酸球の浸潤を認めた。蛍光抗体直接法は陰性, 間接法で抗表皮細胞間抗体が64倍, 抗核抗体が4倍まで陽性であつた。ステロイド全身投与で皮膚症状は漸次軽快し血中抗表皮細胞間抗体も8倍に低下したが, 4ヵ月後再検したところ128倍と再上昇しており, 現在も持続している。本剤による天疱瘡様皮膚病変本邦報告例をまとめ統計的観察を行つた。また, 本症の発症機序に関し文献的考察を加えた。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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