1985 年 47 巻 6 号 p. 1053-1059
典型的Gardner症候群の家系例を経験したので, 本症の概説とともに嚢腫性病変の特徴について臨床病理学的検討を加え報告した。発端者と考えられる男子は52才で直腸癌にて死亡し, 成人例4例すべてに腸管ポリポーシス, 下顎骨の骨腫, 嚢腫性病変を認め, 小児例2例(4才男児, 3才女児)にも, すでに嚢腫性病変の出現を認める。自験家系例は, 多発した嚢腫性病変が特徴的であり, 従来報告されてきた表皮嚢腫とは臨床病理学的にも異なるものであつた。そこで, 嚢腫性病変の臨床病理学的特徴をあげ, 皮膚病変からGardner症候群を推測する手がかりを示した。