西日本皮膚科
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研究
尋常ざ瘡の皮表脂質と血清脂質
—条件の一致したざ瘡群·正常群女子ボランティア間の比較—
松永 佳世子早川 律子
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1985 年 47 巻 6 号 p. 1080-1087

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抄録

尋常ざ瘡の病態に果たす脂質の役割を明確にする目的で, 年令·生活条件の一致した18才から23才の女子ボランティア67名を募り, 顔面, 頭部, 血清中の脂質について検討した。ざ瘡群36名は正常群31名に比し, 顔面皮表脂質では総脂質量(以下TLと略記), 遊離脂肪酸(以下FFAと略記)%, 総脂肪酸組成中C12, C14%が有意に高く, C18%が有意に低く, 頭部皮表脂質ではFFA%, C14%が有意に高く, トリグリセライド(以下TGと略記)%が有意に低い結果であつた。FFA%とFFA%+TG%は顔面, 頭部の両者において, TLに伴つて増加した。血清脂質ではTL, 成分ともにざ瘡群と正常群の間に有意差を認めなかつた。同時に測定した白血球数はざ瘡群が正常群に比し13%高い値を示し有意差を認めた。以上の結果をもとに尋常ざ瘡の病態に果たす脂質の役割について, 内分泌因子, Propionibacterium acnesとの関連を文献的に考察し, 脂質の役割はざ瘡の炎症過程に重要ではあるが, 面皰形成過程, 炎症過程初期においては, 第一の重要因子ではないと推定した。

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© 1985 日本皮膚科学会西部支部
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