西日本皮膚科
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研究
多核白血球の活性酸素産生におよぼすCepharanthinの効果
鈴木 真理子佐藤 静生田崎 理子沢村 大輔野村 和夫橋本 功帷子 康雄
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1986 年 48 巻 2 号 p. 278-283

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抄録

再発性アフタ, Behçet病に対するcepharanthinの奏効機序をさぐる目的で, 正常人5名の多核白血球の活性酸素産生能におよぼす本剤の効果をin vitroで検討した。その結果, 活性酸素のうちO2-の産生(cytochrome C法により測定)は, phorbol myristate acetate(PMA)刺激の場合, 本剤5μg/ml添加で83%, 10μg/mlで98.7%抑制され, またluminol依存性化学発光量は1μg/mlで29%, 5μg/mlで95%抑制された。一方, xanthine-xanthine oxidaseによるO2-生成は, 50μg/ml添加までまつたく影響しなかつたこととあわせて, cepharanthinはDDS(4-4-diamino-diphenyl sulphone)やcolchicinとは異なつた機序で多核白血球の活性酸素産生を抑制すると考えられ, これら薬剤の併用投与は, その活性酸素産生能の亢進しているBehçet病に対して意義のあるものと推察された。さらに本剤は, 多核球によるauto-oxidative damageが関与するとされる種々の病態に対してもその効果を臨床的に検討する価値があると考えられた。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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