西日本皮膚科
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治療
Ketotifenドライシロップの小児アトピー皮膚炎に対する臨床効果
上出 良一田中 栄新村 眞人
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ジャーナル 認証あり

1986 年 48 巻 2 号 p. 350-355

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抄録

小児アトピー皮膚炎の20例について8週間にわたりketotifenドライシロップを体重14kg未満は, 0.8mg/日, 14kg以上23kg未満は1.2mg/日, 23kg以上では2.0mg/日を分2で投与し, その有効性, 安全性および有用性について臨床的に検討した。各症状の改善度はそう痒90%, 丘疹80%, 紅斑90%, 湿潤·糜爛78.6%, 表皮剥離·掻破痕73.3%, 苔癬化70.0%, 落屑78.9%と全症状において70%以上の高い改善率を示した。最終全般改善度は著明改善5例(25.0%), 中等度改善9例(45.0%), 軽度改善4例(20.0%), 不変2例(10.0%)で悪化例は認められなかつた。中等度改善以上が70.0%, 軽度改善まで含めると90.0%となり, かなり高い改善度といえる。副作用は1例で眠気が発現したのみで, ほかに重篤な副作用は認められなかつた。以上よりketotifenドライシロップは従来のシロップ剤と同様, アトピー皮膚炎の治療に有用であり, さらに, この剤型は保存, 取り扱いの上で使いやすい剤型であると考えられた。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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