1986 年 48 巻 3 号 p. 424-427
近年, 各種の薬剤や医療行為による医原性疾患が増加するにつれて, これらの医原性疾患のなかには, 従来, 原因や病態の不明であつた皮膚疾患と同様な, あるいは, よく似た臨床所見をしめすもののあることが見いだされるようになつた。そこで, このような医原性疾患ないし病変の研究を通じて, 医原性でない疾患の原因や病態に関する研究や, 治療が試みられている。この趣旨でこれまでの報告例をまとめてみると, アレルギー, 循環障害, 膠原病から水疱症, 角化症, 色素異常症, 感染症にいたるまで, ほとんどすべての皮膚疾患群が医原病としても見られていることがわかつた。